マーテイン・ラージ著、林寧志訳 © 2019 Yasushi Hayashi
『三分節共栄社会―自由・平等・互恵・持続可能性を実現する―』6の2
まとめてみると、この章では大企業および政府が文化を乗っ取る方法について分析しました。芸術・科学研究・遺伝子コモンズ・知的コモンズ・保健・子ども生活・マスコミなどが大企業によって囲い込まれ、取り込まれています。ゴア・ヴィダルが書いているように、「大企業による国の所有が学校の教室のみならず民衆の説教壇であるマスコミをも絶対支配している」のです。(ゴア・ヴィダル著『アメリカ帝国の衰退と滅亡』)
イギリスではアフルエンザの増加とともに大企業による文化の圧倒という状況がかなり進んでいるので、北欧の社会民主主義の国々に比べて精神的な病に悩む人の数が二倍になっています。
自己本位の資本主義体制は、文化支配という方法によって私たちの共同の富を盗み取っているのを隠しています。次章では所有権の剥奪がどのように起こり、いかに私たちが買い取られたのかを分析しましょう。